デュシャン

nununununu2005-03-20

念願の『マルセル・デュシャン』展。デュシャンの作品と、彼に影響を受けた他の作家による作品が並列に展示してあり、比較しながら鑑賞できる構成になっている。例えば、椅子の上に自転車の車輪を配した作品に惹かれるのは、回転せずに待機している状態で佇んでいることにあるのだろうから、車輪を機械の力で回転させて見せた久保田成子の作品は、その点においてはつまらない、といったような比較ができる。「意味を持たない既製品を選択をすることはむずかしいものですよ」、といったようなデュシャン自身のコメントも、このような展示の仕方でより説得力をもつ。大規模の展覧会では、そういったとっつき易い提示が歓迎されるのは分かるけれども、少し過剰な印象も覚えた。行列のできていた、壁の中をひとりひとり覗いて鑑賞する「遺作」は、次がつかえているし、その中身の中身なので、あまりゆっくりは鑑賞できない。その一回性の緊張感が一番よかったように思える。
マン・レイやハンス・リヒター等の短編上映も鑑賞できた。デュシャンの「アネミック・シネマ」が一番好きだな。映像といえば、休憩場所で放映されていたマース・カニングハムの映像作品を子どもが夢中で観ていたのが印象に残っている。あと、会場で安永くんに会った。おひさしぶり!
寝るまえに小津『東京物語』。この作品も『ミツバチのささやき』のように、勿体なくて観ないでおいた作品。なのだけど、小津を回顧する作品や本などで内容は大体知っており、はじめて観た気はしない。やはり代表作と言われるだけの作品だ。小津は配色のセンスも神の領域なので、今度は『浮草物語』とかを観なおしたい。